おとぎ話の忘れ物

おとぎ話の忘れ物

おとぎ話の忘れ物


樋上公実子の、エロティックで清楚で残酷で透明感のある少女のイラストは、まさに小川洋子の作風とシンクロする。
この物語はイラストを元にして書かれたのだが、小川洋子のために描かれたのかと思ったほど。
(どういう経緯でこのコラボになったのか詳細は知らないのだけど)
「博士の愛した数式」「ミーナの行進」ももちろん素晴らしい作品だけど、この作品を読んで「これぞ小川洋子」って思ったファンは多いんじゃないだろうか。


世界中の遺失物置き場に忘れられていた物語を丁寧に拾い集めた、キャンディー屋さんの待合室件図書室。
包装ができるまでの時間、お店のキャンディーをなめながら居心地の良い部屋でおとぎ話しを読む、という暖かなシチュエーションとは裏腹な、残酷で妖艶なストーリーたち。
でも小川洋子の手にかかるととてつもなく美しいものになる。
あまりにも切れ味が良すぎて、肉を切り裂かれても痛みを感じないような感覚。
かなりあとからじわじわっと痛みが来る。


たまりませんな。