昨夜の出来事。


夕飯の後片付けを終え、取り込んだままの洗濯物を畳もうと、娘の部屋で大量の衣類と格闘していた。
娘が塾の合宿中で留守にしているので、息子がクーラーが効く娘の部屋で勉強している。


黙々と、勉強する息子と洗濯物を畳む私。
虫の声と、遠くから聞こえる花火大会の音以外なんの雑音もない中、突如、無神経な音が我々二人の沈黙を破った。



…じっ



夕方の突然の雨に驚いて急いで取り込んだから、シーツにへばりついていたセミに気付かずにそのまま部屋に持ち込んでしまったのだ。



「ぅあ!!」とか「ぅぉおおお!!」とか、何を叫んだのか覚えてないけど、ともかく昆虫嫌いの私ら親子はとっさに部屋の入り口まで逃げた。
ものすごい俊敏に逃げた。
おそらく、ここ1ヶ月内で最速の動きで逃げた。


頼りの夫は、娘の送迎で朝が早かったせいで、すでに床についている。

「オレにとっちゃセミもゴキブリもたいして違いはないんだ」

という息子の主張に激しく同意しつつ、娘のバドミントンのラケットとか、ダンボールの切れ端とかでなんとかそいつを外に出そうと必死になっていた。
ダンボールの切れ端を持ち、決死の形相で
「オレがやる」
と言い放った息子が一瞬頼もしく見えた。


しかし。
中途半端に放り投げたもんだから、窓の外には行かず娘のベッドに下にもぐりこんでしまった。




このバカ息子がっ



しかたなく最終兵器である殺虫剤の使用を決定。
我々の中ではゴキブリと同等であるのだから、と、殺虫剤の使用についての大義名分をセミに向かって告げてみる。


格闘すること2時間近く。
部屋の中で激しく泣き続けるセミの生命力に本気で腹が立ってきた。
息子が殺虫剤を噴射する私に
「セミって1週間の命なんだっけ?」
とドアの向こう側から哀れみの視線を投げかけてくる。
たった1週間の人生が殺虫剤によって奪われるセミって…。
一瞬ものすごい罪悪感に襲われてしまったじゃないか。(泣)


そんな言葉を残して、息子は机の周囲に参考書やら問題集やらMDやらを置きっぱなしにして自分の部屋にこもってしまった。




この根性なしがっ



呆然と立ち尽くすしかない私。
仕方なく夫に救援を頼む。
あっさりと、あばれるセミをつかんで外に逃がしてやる夫。


やっぱり一家の大黒柱だわ。はぅ(♥´Д`)


しかし、息子よ。
体調わずか5センチにも満たない、しかも飛ぶ力もほとんど失っているセミごときに翻弄されてていいのか?
毒があるわけでもなし、噛み付くわけでもないんだし。
とはいっても、グロテスクな外見と耳障りな鳴き声と異常に速い動きが心臓をバクバクさせるんだよね。


これって、遺伝なんだろうか?それとも育て方が間違ってたんだろうか?