ペリー提督 海洋人の肖像

ペリー提督 海洋人の肖像 (講談社現代新書)

ペリー提督 海洋人の肖像 (講談社現代新書)

日本を開国に導いた男、東洋艦隊指令長官ペリー提督の生い立ちから日米和親条約に至るまでの軌跡をたどる。
ペリーといえば、恫喝的外交によって不公平な要求を無理やり押し付けた傲慢なキャラクターとして定着している感がある。しかし実は「ジャップなんかちょっと脅かせばちょろいもんだヨ」的な軽薄な人物像とは真逆な非情に有能な仕事ぶりが浮かび上ってくる。

実は東洋艦隊の司令長官は自ら望んだ役ではなかったこととか、当初11隻の大艦隊を引き連れて向かう予定だったとか、アメリカ本国の政治的な事情の変化により数々の困難に直面するとか、任務を終えて帰国しても正当な評価が得られなかったとか、何かと苦労が絶えなかったらしい。
ドラマチックな場面はないものの、次々と待ち受ける困難に立ち向かい、臨機応変に対応し優れた統率力で任務を遂行する姿は結構カッコいい。技術者、実務家として高い能力を持っていたことがうかがえる。