江戸の旅日記

江戸の旅日記 ―「徳川啓蒙期」の博物学者たち (集英社新書)

江戸の旅日記 ―「徳川啓蒙期」の博物学者たち (集英社新書)


江戸時代中期以前の日本の紀行文学では、目前に広がる風景をそのまま表現せずに、勅撰集等に取り上げられたような過去の歌人のものの見方でししか表現していなかった。それが8代将軍吉宗の時代あたりから、より写実的にに書きとめ時に批判も含め、現実をあるがままに表現する者が現れてきた。
本書ではその時代の紀行文の中に残されたものの見方や考え方を探ることで、日本の思想的な近代化の萌芽がこの江戸後期にあったことを証明しようとしている。

漢文・古文が苦手な私にとって、こういう類の本の中に挿入される資料の原文を読むのは非常に辛い作業なのだが、この本は全くの現代文で紹介してくれているので読みやすくて助かった。^^;
聡明な思想的パイオニア達の、知的好奇心に目を輝かせて旅をした様子が浮かんできて楽しくなる。