国防

10代半ばの頃、公民の授業で憲法9条を暗誦させられ、その一語一句たりとも変えられてはならないものだと、まだ発展途上の脳みそに植え込まれた私は、憲法改正について論じることさえどこかでタブー視してきた気がする。
アメリカとソビエトという2大国の間の微妙な安定の中で、ぬくぬくと経済成長を続ける時代に成長してきた私と同じ年代の方には、まだ正面きって国防というものを真剣に考えられない方も多いのじゃないかと思う。そういう方々にぜひ読んでみていただきたいと思う。
石破茂氏というと"軍事オタク"というイメージを抱き、やや危険物を見る視線を送る方も多いかもしれないが、私は防衛庁長官在任中から石破氏に好感を持っていた。語っていることにウソがなく、言葉を慎重に選んで丁寧に答弁する姿勢に誠意を感じる。
この本も読者ひとりひとりに語りかけるやさしい文体で書かれていて、専門用語も少なく中高校生でも十分理解できると思う。
なぜイラクへ自衛隊を派遣したのか、BMD(弾道ミサイル防衛)でノドンを打ち落とせるのか、我々国民は国のため何をするべきか、考えるヒントがこの本にある。