大河の一滴

去年大病を患ったうちの義母へ、ある方が薦めてくれた本。しまい込んであったのをたまたま発見したので読んでみた。

著者は、人は皆生まれながらに死のキャリアであるという。この世はもともと無茶苦茶で残酷で、悲惨にみちみちていると理解したから生きられたという。なんでこんな究極のマイナス思考なんだよ、とちょっとイライラしてしまう方もいるかもしれない。でも、世間を見回して"ムダに明るく"生きている人も、実はそういう暗い部分を懸命に払拭して生きていると思えるのも事実。ポジティブなスタンスが正しいとしてしまうことは、現代人にとって非常に辛いことであるかもしれない。
確かに人生は苦だとすることから出発することもありだな、と思った。

7年前のこのベストセラー、多くの方は五木氏の言葉に救いを感じたことだと思う。しかし、私は同時に彼がこういう境地に至ったまでの七転八倒を想像し、胸が痛くなった。