経営者、15歳に仕事を教える

日本IBMの会長という、紛れもなく日本の経済界の要人である著者が、中高生向けに仕事とはなにかということを書いた。といえば過去の自分の経歴の自画自賛が鼻につく文章かと思っていた。確かに前半は立身出世物語でもあるが、一向に不快感がないのは北城氏の健全な精神によるものだと思う。
ギラギラとした出世欲は微塵もなく、淡々と、しかし常に他者と己を良い方向へ導こうとする努力を怠らない姿勢は尊敬に値する。また、そうした人格と能力を認め正しく育成してきたIBMの風通しの良い社風もすばらしい。
後半はこらからの教育がどうあるべきかについて、現状への危機感と具体的な方法の例を挙げている。
現在高校1年生の息子のために買った本だが、母親、特にとかく偏差値とか学校のブランドとかに執着しがちな(私のような)親にぜひ読んでいただきたいと思った。
自分の子供を送り出そうとしている社会というものの現状に、子育てをしている我々はもっと敏感にならなくてはいけない。そして北城氏のような"健全な"人間に育て上げることが、我々の責任だと痛感した。