阿修羅のジュエリー

中学生以上のヤングアダルトに向けて書かれた「よりみちパン・セ」シリーズ。
多摩美大の教授である鶴岡真弓氏が、仏教美術等に見られる装飾品の文明史を情熱的にかつ判りやすく教授してくれる。


「人間を超えた力を表現する宗教美術も、じつはその時代の人間が現実に活動するなかで手にした、貴重な美(価値)、術(技)、作品(創造されるモノ)を基にしている」
その時代の背景にある社会の息吹を理解する知性と実際にそれを表現するスキルの両方があって、初めて本当のアートというものが実現するらしい。
なるほどねぇ。


国立博物館で阿修羅像を見るときには、そのジュエリーにも要注目です。
アレキサンダー大王がインドに人の形で表現することをもたらし、そこでジュエリーが仏像彫刻に宿り、中央アジアを通って中国に伝わる過程でより洗練され、百済人が日本にきらびやかな仏教美術をもたらした。
そして我らが阿修羅像は今もアイドルであり続けているという・・・なんという壮大なストーリー。


ちなみに。


「あしゅら」と聞いて真っ先に連想するのが「阿修羅原」という夫の脳内では、六本の腕でラリアットとかいう、破壊力があるのか無いのかわからないシーンが展開されているそうです。

阿修羅のジュエリー (よりみちパン!セ シリーズ44)

阿修羅のジュエリー (よりみちパン!セ シリーズ44)