富士山を汚すのは誰か

10年前の京都旅行の際、新幹線から見えた富士山の神々しい姿を見て、しみじみ「日本人でよかった」と思った。だがその時の富士山は悲惨なほど汚れていたということを後で知って、登山者のゴミや糞尿にまみれた「世界で最も汚い山」に感動していた自分に若干腹立たしささえ感じたものだ。


野口氏はエベレストに初めて登った頃、大量の日本人が残したゴミを目にし、「日本人はエベレストをマウント・フジにするのか」と言われたことに衝撃を受け、2000年からヒマラヤ清掃登山を始めた。掃除をしながら山に登ると一言で言えば簡単だが、それは命がけの行動だということを恥ずかしながらこの本を読んで初めて知った。テレビに多く出演する野口氏を見かけてはいたが、それも全ては山を綺麗にするという情熱に由来する行動だということも初めて知った。
私がこの本を手にしたのも、最近になって盛り上がっているエコブームの影響だと思う。先月日テレ系列で放映されたエコ特番を見て、環境問題に目覚めた気分になっている単純な小市民は私だけではあるまい。でもきっかけはどうあれ(関ジャニが出るからとかそういう不純な動機でも^^;)我々のレベルから何かを始めなければならないことに気付かされたのは収穫だったと思う。