李玉琴伝奇 満州国最後の〈皇妃〉

頭皮にシラミの卵をかかえるような貧困な家庭出身でありながら、ラストエンペラー溥儀の妻となった李玉琴。圧倒的な美貌があるわけでなく、素晴らしく聡明でもない彼女が溥儀の妻に選ばれ、満州国の崩壊の歴史の中で翻弄される波乱万丈を描いている。

天真爛漫、猪突猛進。
数奇な運命の中で、困難を乗り越えていく彼女の生き様に湿り気がないのは、彼女のこうした性格によるものだと思う。そもそも、皇帝の妻として王宮に入ることに何の逡巡もなく決断した最初のエピソードから、彼女の大胆さに圧倒される。次々と襲い掛かる不幸な出来事に翻弄されながらも本能の赴くままに疾走する彼女の姿は、ハラハラさせられるが小気味よくもある。